2017年4月6日木曜日

『かわいいひと』④『天堂家物語』③感想

斎藤けんさん著『かわいい人』四巻と『天堂家物語』三巻の感想です。

ストーリーのネタバレを含みますので、苦手な方や、未読の方はご注意ください。

続きからです






『かわいいひと』

「死神顔」と評されるくらい顔が怖い森也くんが、天使のようにかわいい日和ちゃんと恋をする、というのがストーリーの主軸です。

この巻のお話は森也くんが日和ちゃんの家に泊まる話、森也くんのお母さんの誕生日を二人でお祝いする話、日和ちゃんのご家族に、森也くんがご挨拶に行く話の三つが収録されています。

森也くんの家族のエピソードは当時の苦労と一緒に今のお母さんとの絆を感じられて、ほっこりします。
あとは鈴木家の人々がみんなキャラ濃くて面白いな…!前巻のおまけマンガでセリフだけ出てきた鈴木父はけっこう明るい人な印象でしたが、今回はガッツリ登場。大学の語学教授で急なアクシデントに弱いタイプだそうで、森也くん登場にタジタジです。
でも結局は森也くんは顔が怖いだけの好青年であることを理解してくれるのですが、その後の手のひらを返したような厚遇も見事です。

日和ちゃんと森也くんの恋はテンプレのように順調ですね…。斎藤さんの作品の中でここまでひねり(?)の無い等身大ラブストーリーって今まで読んだことがなかったので、とても新鮮です。ほの暗いところが全然なくて、この二人にはこのまま幸せになってほしい…と願っています。

『天堂家物語』
こちらは、『花の名前』から続く斎藤けんさんっぽさ、というか、空気のあるお話だなー、と思います。

育ての親のじっちゃんを亡くし、「人を助けて死ねばじっちゃんのところに行ける」と思いこんだ少女が、嫁ぐ最中で泣いていた鳳城蘭と入れ替わり、嫁ぎ先の天堂家であっさりバレて「らん」と呼ばれながら、鳳城蘭の結婚相手だった雅人にこき使われるお話。
雅人に使われる中で、じっちゃん仕込みの体術を使いながら(只者ではない…)、らんは己の生きる意味を見つめなおしていくのでした…というお話です(たぶん)

『かわいいひと』とは違ってこちらはほの暗さ全開で、不穏な噂のある名門天堂家、さらにその中の人々がどいつもこいつも「こいつはヤベエ…!」というくらいのヤンデレ臭をぶちかましてきます。
雅人は正当な後継者なのか定かではないし、叔母は実兄と何があったんだよ…というくらい何かに陶酔しているし、現当主の娘という昌は本気で鳳城蘭を殺しにかかってくるし、で一体どうなってるんだ天堂家の内情は…という感じです。今回は箸休め的な、らんと雅人の関係が一進一退するようなお話が多かったですが、次巻からは観薔会という天堂家が集う会が始まり、物語が進みそうです。楽しみだな~でも発売予定冬か~遠い…。

連載が『花の名前』だけだったころは、本屋で新刊捜すのも一苦労だったけれど(予約すればいいだけの話なんだけれども)、本屋でフェアがされるようになると「フフ、そうでしょ、いいでしょ」とまったく関係ない一般市民ながらちょっぴり自慢に思っちゃう小市民マインド。

ちなみに私は、単行本未収録の短編をもう一度読みたいと思っているんだよ…!「ガーと王子様」とか、このウェーブに乗ってぜひ短編集が発売されないかな…!

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